当流の技法と稽古

【光圓流の技法】
 
当流の技法の起点となるのは、大地に根を張ったまま動く『地擦り足[ちずりあし]』です。
この地擦り足を身につけるために、まずは立ち方を正し、体軸を強く鍛え上げていきます。空手の基本稽古や、古武術の行法『天水の行[てんすいのぎょう]』『地水の行[ちすいのぎょう]』等を積み重ねていくのです。
 
足腰を鍛え、軸を強く正し、体幹部から生みだした力を、余すところなく相手に伝える。そのために必須なのが、股関節や肩胛骨の強さと柔らかさです。強いだけでも柔らかいだけでも最大の力は伝わりません。まず基本稽古や地水の行、自重を用いた練体などで、身体を内側から強く鍛え上げていきます。そこから腰割や股割や『風手[かぜんて]』といった行法を採り入れて、より強靱で柔軟な動きへと深化させていくのです。
 
根気よく三年も稽古していくと、肩は落ち、背中が大きくなり、加速的に重心が低くなっていきます。ここまで来ると、当身の威力も質も変わり、相手に触れた状態からでも効かせられるようになってきます。組手でも崩される場面が減り、さらに稽古を続けていくと、受けただけで反対に相手を崩せるまでになってくるのです。
 
プロモーションビデオをご参照ください。軽く受けただけでも相手を完全に制して、二の手を打たせないようにして崩しているのがわかるでしょう。
これらを実現するためには、高い反応力と体全体で生みだす速度や技の巧緻性が求められます。
また、そういった能力を常に発揮するためには、平常心や無心といった心のあり方が欠かせません。
 
心と技と体はひとつ。すべては日々の稽古の積み重ねによってもたらされる賜物。
焦ることなく、驕ることなく、毎日少しずつでも己と向きあって精進していく。
それこそが武の実践だと当流ではとらえています。
 
【光圓流の稽古】
 
当流は成立の過程において、さまざまな日本の武術の影響を受けています。
 
・古代の相撲を大元とする宿禰の技(氏伝および相伝)
・山の民の練体と双手短剣術(民間伝承)
・修験者の行法と棒術(表技としての光圓流の名の由来でもある)
・沖縄空手
・近代空手
 
大きな影響を受けたものだけでも上記が挙げられるでしょう。
 
そうした技法の内、一般向けの武術教室では、比較的安全な表技や練体・行法を指導しています。
 
一般向けの稽古としては、以下が大まかな内容となります。
 
・その場基本
・移動基本
・実践移動基本
・打ち込み
・約束組手
・実践約束組手
・自由組手(一般教室では寸止め形式)
・練体および行法
・型
 
その場基本では、立ち方から始まり、突き受け蹴りを中心に、強い軸の育成と素早い技の通り道を育みます。
移動基本では、その場基本で培った能力を、移動しながら活かせるように全身でつなげていきます。
さらに実践移動基本では、移動基本で培った能力を、組手でも活かせるように調整していきます。
打ち込みでは、巻藁やミットなどを用いて、足運びや当て方や効かせ方を研究します。
約束組手では、転身や転換によって、表をとる裏をとるといった入身の基本を身につけていきます。
実践約束組手では、間合いの攻防や合わせ技といった自由組手で活かせる技法を覚えていきます。
一般部での自由組手は寸止め形式で行い、いかにして先を取るかという実践研究の課題に取り組みます。
練体および行法については、口伝であり門外秘でもあるので、ここでは割愛させていただきます。
また必修型として、太極(三種)、ナイファンチ(初伝、中伝)、セーサン(初伝、中伝)、バッサイ(初伝)、チントウ(初伝)、クーシャンクー(初伝)を指導しております。
 
棒術は原則的に初段以上、しかし四十歳以上の希望者には、早い段階で指導する場合もございます。
 
当流では、入門してからの一年間は、徹底して基本を掘りさげていくことを勧めています。
基本をおろそかにしては、一撃で効かせるだけの威力も養成できませんし、受けで崩すこともままなりません。そういった能力が芽ばえてきて、はじめて型や約束組手も本来の意味や価値がわかってくるのです。
 
そして武術の根幹というのは、地道な一人稽古によって培われるものだと気づいていただきたい。
道場稽古だけで満足せず、毎日三十分でも一時間でも結構ですので、自分なりの実践研究を積み重ねてみてください。
それが十年後二十年後、大きな実りをもたらしてくれることでしょう。