壮年以降の注意点

 

壮年以降の注意点

当ウェブサイトや雑誌の告知覧を通じて、入門を希望される方々からのお問い合わせが、定期的に届くようになりました。

よくあるご質問の中に「四十代(あるいは五十代)なのですが、入門しても大丈夫でしょうか?」といった内容が見受けられます。

働き盛りといわれる世代ですが、いざ道場へ足を運んで新しい武術を身につけるとなると、さまざまな不安を覚える年齢でもあるのでしょう。

現在の壮年世代は、体力的には相当な余裕がある方々が多いです。
特に瞬発力などは、まったくの武術未経験者であっても、二十代の若者よりも秀でている人がめずらしくはありません。

ただ、やはり持久力や柔軟性というあたりは、加齢とともに衰えていくのは避けがたい面があります。

しかし、こういった衰えを克服していくための稽古法が、光圓流には揃っているのです。

持久力は、無駄な動きをなくしたり、呼吸法を身につけることによって、大幅な改善が見込めることでしょう。


柔軟性も、質の高い練体を行うことで、六十代半ばくらいまでは維持していくことが可能です。

また、これらの能力を高めていくために欠かせないのが、体によい栄養の摂取です。

山の幸や海の幸を中心に、自然の恵みを取り入れる。
糖質を一度に大量に摂らないようにして、食事の順序や食べ合わせにも気を配る。

たとえば、前菜としてサラダを採り、一度の食事では、穀物や肉類はそれぞれ一種だけにする。
これだけでも胃腸の調子が安定して、消化吸収がよくて疲れにくい体になっていくことでしょう。

お酒も適量を心がけ、炭酸の入ったものは一~二杯程度に留める。
糖質の多いワインや日本酒の場合などは、常飲はしないようにする。

煙草も肺を硬化させてしまうので、できれば吸わない方が望ましい。

前述した糖質も、筋肉や腱を硬化させるので、摂りすぎには気をつけましょう。
特に精白糖などは、血管にまでもダメージを与えることがあるので、要注意かもしれません。

よい運動と栄養がそろえば、あとは休息です。

睡眠は、しっかりと取りましょう。
夕方以降はカフェインを摂取しないようにして、午後十~午前二時を中心に、七時間半以上の睡眠時間を確保することが理想です。

夜更かしは、目や神経系を疲弊させて、免疫系も弱まっていくので、ほどほどに。

また布団は硬めの方が、武術家の体にはよい場合が多い。

枕も基本的には、低い方がいいでしょう。

猫背や怒り肩の人は、枕を使わずに眠る習慣をつけてみてください。
枕無しで仰向けで寝れば猫背も治りますし、横になって寝返りを打てば怒り肩も収まってきます。
猫背や怒り肩だと、古流の動きは身につきにくく、特に歩法に支障が出てきます。

座業やデスクワークの際にも、姿勢には気をつかってください。
胡座や脚を組んだ姿勢での長時間の作業は、なるべく控えましょう。

どうしても胡座や脚を組みたければ、せめて十分おきに左右を組みかえてください。
これだけでも、骨盤や脊椎の歪みの原因が減らせるはずです。

座り仕事が中心の場合は、肘掛けつきの椅子に深く座して、前腕を肘掛けに載せたまま作業すると、かなり疲労が軽減されます。

環境が許せば、バランスボールの上で作業するのもよいでしょう。

生活習慣を見なおすことで、体の調子を高く安定させることができるようになっていきます。

歳をとっても健在な武術家は、まずみなさん姿勢がよい。
それもまた、日頃の生活から律してきている証拠なのでしょう。

体調さえ安定していれば、歳を重ねたからといって、急激に衰えるということはありません。

しかし、それでも恐いのが、やはり稽古による怪我や疲労の蓄積です。

あるとき急に、動けなくなる。
その原因は、怪我や古傷の再発、あるいは疲労の蓄積以外にありません。

怪我を防ぐためには、稽古法そのものを見なおす必要性があります。

また体に負担のかかる稽古を長く続けていると、大きな怪我などはしなくとも、疲労が蓄積して徐々に動けなくなっていくという場合がある。

特に四十代以降は、こうした症状がよく見られます。

硬い動きばかりを長期間に渡って続けてきた武術家は、体自体が動きたくないと悲鳴をあげているように見えることすらもめずらしくはない。

若い頃に猛稽古でならした実力者ほど、このあたりには気をつけなければならないのでしょう。

光圓流では武医同根 ―体を傷めず育む稽古―を推奨しています。

師範の能見も、若い時分に大きな怪我を何度か経験しており、古傷を庇いながら稽古を続けてきたという経緯があります。

怪我を克服するために、ある時期からは古武術の理合や行法を採り入れ、一から稽古法を見なおしては、再構築していくという過程を経てきました。
その結果、四十三歳になる現在が、もっとも体がよく動く状態となっているのです。

光圓流で学んでいる中には、七十歳前後の方もいらっしゃいます。
自家栽培の米や野菜を摂って、普段から山登りなどもされている方ですから、やはり動きの土台が違います。自分よりも上級の若者たちを相手にしても、組手で勝ち越すぐらいの実力を備えています。

 

そこまでの環境を整えるのは、さすがに一般的には難しいでしょう。
けれども、数ヶ所の習慣を改善するだけでも、充分な効果が見込めるのです。

何歳になっても動ける。

わずかな工夫や努力の積み重ねで、それが適うのであれば、武術を学ぶ意味合いもまた広さと深みを増して、よりいっそう有意義なものとなっていくのではないでしょうか。

いくつになっても動ける見本に自分がなってやろう。
そう思った壮年の入門希望者は、ぜひとも体験にいらしてください。

練体を通して、じっくり自分と向きあう。

そんな側面も、また光圓流の貴重な特徴なのだと、稽古を通じて実感していただけるはずです。