千葉道場 2019年度 夏季合宿

予てより交流のあった千葉道場の夏合宿が、鳥取県大山青年の家で行われ、当流の能見師範も特別講師として参加いたしました。

道場長の千葉潤一先生は福島県出身で、極真空手の福島県大会での優勝歴もあり、娘の凪彩さんをWKU world youth openの世界王者に育て上げた名指導者でもあります。

千葉先生ご一家は、2011年の東北大震災で被災したのを機に、鳥取県大山町に移住して来られました。

 

光圓流のウェブサイトをご覧になった千葉先生が、能見師範の元に体験入門に訪れたのが2018年の春でした。
以降は友好関係が続いております。

2019年度の夏季合宿は、大山青年の家に宿泊をしながら、三日間に渡って行われました。

真夏の暑い盛りでしたが、大山青年の家は標高が四百メートルに位置していることもあり、朝晩の稽古では集中した取り組みを行うことができました。

またリクリエーションとして、合宿二日目には飯盒炊爨によるカレー作りやそのための薪割りを行い、翌日には現地の森から集めた材料でのウッドクラフトに挑戦したりもしました。

 

参加者の多くは小学生で、合宿ははじめてという子も多く、さまざまな新鮮な体験に目を輝かせて取り組んでいる様子がうかがえました。

上級生が下級生の世話をすることで、下級生は先輩たちへの信頼を覚え、上級生には責任感や自覚が備わるようになっていきました。

保護者の方々も、合宿の申し込みや段取りから合宿の最終日まで、献身的なご協力をしてくださいました。
日中は熱中症にならないようにと冷風扇やスポーツドリンクなどを大量に準備してくださり、
保育園児の生徒の入浴や就寝の世話までを三日間に渡ってつきっきりで見てくださいました。

 

合宿二日目の夜には、鳥取県立武道館での合同稽古が行われました。

主催者である流心会館の藤崎和也館長は、厳しいながらも暖かみあふれる指導をされており、生徒たちの礼儀正しさや組手の際の前に出る気迫が素晴らしかったです。

また特別講師として、新極真会カラテワールドカップの元世界王者である宮野孝裕先生が招かれ、試合で勝つための高度な技術指導も行われました。


参加者はとても充実した有意義な時間を過ごせたように思います。

合宿最終日には、全力を出し切るように集中して稽古に打ち込み、千葉先生による総括と能見師範の講話で稽古は締めくくられました。

 

その後は奉仕活動として施設内外の清掃を行い、お世話になった大山青年の家の職員の皆さんに、生徒ひとりずつがお礼と挨拶をして、解散の運びとなりました。

 

「流派は違っても目指すところは同じ」

「誰でも努力を続ければ強くなれるし、本気で続ければ世界王者だって目指すことができる」

「強いだけじゃなく、思いやりのある礼儀正しくて尊敬されるような選手になってください」

 

「練習仲間や先生方やお父さんお母さん保護者の方への感謝の気持ちを忘れないように」

合宿最後の千葉先生の訓話に、生徒たちも感じ入るものがあったようで、心身ともに成長著しい三日間となったように思います。

 

「能見先生は、むっちゃ凄かった。いつ動いたか速くてわからんかった」

「強くなりたいので、もっといっぱい教えに来てください」

関西大会で優勝経験のある生徒は、そう言って目を輝かせていました。

フルコンタクト空手の練習生は、明るくて清々しい傾向が強くあります。
それは直接打撃制の試合で完全燃焼するまで打ち合うことによって、地道に培われた自信や克己心の裏打ちがあればこそなのでしょう。

人間は打たれると崩れます。馴れていない衝撃には、心も体も弱いものなのです。
そこを乗り越えた者同士だからこそ、お互いに自然と尊敬しあうことができるようになる。
小学生でも、そのことを身を以て知っているのです。

光圓流の組手は、少年部や試合に出場しない一般部の場合、寸止め形式が基本です。
それは先を取るという原理原則を重視しているためであり、武術としての不可欠な要素を満たすためでもあります。

しかし先述したように、打たれたことのない生徒は、いざ打たれると脆いものです。
ゆえに当流でも緑帯に昇級する前の生徒は、フルコンタクト空手の道場へ出稽古に赴きます。
茶帯になる前には、グローブを着けての組手や、総合格闘技的な組技有りの稽古も、十分な安全性を確保した上で行います。

体を通すことでしか伝わらないことがある。
だからこそ身体文化には特有の価値があり、身を切るような感覚を誰もが日常的に養える現代武術は、日本が誇る貴重な無形文化たり得るのだと考えて、当流でも普及に努めている次第です。

千葉先生、藤崎先生、宮野先生、練習生および選手、そして保護者の皆様方、このたびの合宿と合同稽古を通じて、とてもよい経験をさせていただくことが適いました。

今後とも流派を超えて実りある交流を続けていき、生徒さんたちの成長や活躍に寄与することができたらと存じます。