セーサンの型 初伝 光圓流

2011年撮影、能見師範三十九歳のときの動画を公開いたします。

早送りや音声の加工などは一切なされておりません。

流れるような淀みない所作、鋭い呼気や激しい衣擦れや足捌きの擦過音、脱力と呼吸の力による眼にもとまらぬ素速い動きを、ご鑑賞ください。

 


起式に劉衛流の影響が見受けられます。

全般的な流れは首里手系のセイサンに準じていますが、初伝から中伝の段階では、初心者でも重心移動や呼吸を妨げずに行えるように、いくらか簡略化された動作が敢えて選択されています。

中心軸の強靱さ、強烈無比な肚の爆発の連続、解放された肩胛骨と股関節の柔らかさ、全身の一致による予備動作のなさ、瞬時に行われる移動や当身の食い込みや連繋などに、光圓流独自の高度な練体の効果が見てとれることでしょう。

前蹴りのあるセーサンは現在ではめずらしく、中盤での技の展開にも独特の動きが現れています。

入身の際は相打ちを覚悟して、顎を引いて入る。
遠心力を用いた技法では、複数の軸を橋渡しさせるような高度な身体操作を行っています。

セーサンの初伝は、光圓流の目指すところが非常に明確に現れている型だといえるでしょう。

尚、歩法など秘伝に当たる要所は隠した上で、この型の撮影は行われております。
その辺りも、お含みおきください。

参考リンク『闘える型を打つ』

他流派が公開している既存の型とは、一線を画した“闘える型”であることが、この映像を繰り返し視ているうちに把握できてくるはずです。
それは眼力が養われていくことで、全体構造の違いが見て取れるようになった証左に他なりません。
また、そうした効果が波及することを目的として、貴重な映像資料の公開に踏み切りました。

機械のような正確さ、獣じみた瞬発力と連動、人間ならではの呼吸による心身の協調と、体反射を活用した巧緻性が、短い型の中にも余すところなく表現されているのが窺えるはずです。

2017年現在の能見師範は、この動画の撮影時よりも、遥かに練度を増した動きを体現している事実も、ここに附記させていただきます。